世界で最も愛されている飲料のひとつであるコーヒーですが、一杯のコーヒーとして毎日皆さんのカップに届くまでには長い長い旅を経ています。この記事では、コーヒーの種が一杯のコーヒーになるまでの、コーヒー製造のプロセスの全行程をご紹介します。
世界最大のコーヒー生産国上位10か国が市場の87%を占めるといわれています。コーヒーの生産地としておなじみの国の中には、意外と感じられる国もあるかもしれません。 コーヒー産出国には70か国以上が名を連ねていますが、世界で取引されるほとんどのコーヒー豆は、ブラジル、ベトナム、コロンビア、インドネシア、エチオピアの5大コーヒー生産国、そしてその後に続くホンジュラス、インド、ウガンダ、メキシコ、ペルーで生産されています。
気候変動と気温の温暖化が原因で、コーヒーの生産は熱帯地域やいわゆるコーヒーベルトからより北の地域に徐々に変わりつつあり、このリストもほどなく変わる可能性もあります。
次に、長く複雑なコーヒーの製造プロセスを見ていきましょう。
まず、コーヒーとは焙煎したコーヒー豆から淹れた飲み物で、アラビカ種とロブスタ種と呼ばれる主に2種類のコーヒーの品種からとれるコーヒーの実の種子です。 コーヒー豆が多くの人に愛される飲み物として効率良く使用できるようになるには、乾燥し、焙煎し、挽いて粉にするという手順を踏まなければなりません。
種子は通常、日陰にある大きな苗床に植えられます。 通常、種まきは雨季に行います。発芽後は数日間、苗木として成長するまで待ちます。その後、慎重に調合した土を入れた個々の鉢に移し、成長を見守ります。 強すぎる日当たりを避け、頻繁に水やりをし、丈夫で元気な苗木に成長したら畑へと植え替えます。
新しく植えたコーヒーの木が結実するまでには品種にもよりますが、約3~4年かかります。これがいわゆるコーヒーチェリーで、収穫できるようになる頃にはこの実が真っ赤に熟します。 コーヒーの実は通常、2つの異なる方法に従った重労働を伴うプロセスを通して手摘みで収穫されます。
1つ目はストリップピッキングと呼ばれる手法で、すべてのコーヒーチェリーを枝から一度にしごきとります。もう1つの手法はセレクティブピッキングで、摘み手が完熟した実のみを摘み取っていきます。 この方法は当然のことながらより集中的で広範なため、主に質の高い豆の収穫時にのみ実施されます。 収穫後、コーヒーチェリーは2つの異なる手法で、鮮度が落ちないうちにできるだけ早く精製されます。
乾式は古くから行われた精製方法で、水資源の限られた土地では現在でも人気があります。 「アンウォッシュド」や「ナチュラル」と呼ばれることもあるこのプロセッシング(精製方法)は小規模農園の生産者が実施しています。 摘み取ったばかりのコーヒーチェリーは広い場所に広げられ天日干しします。 発酵を防ぎ、均一に乾燥させるために、コーヒーチェリーは一日中定期的に攪拌します。 土地の気候にもよりますが、コーヒーチェリーの水分含有量が11%未満になるまで、コーヒーのバッチごとにプロセスの全工程が数週間に及ぶこともあります。
2つ目は湿式と呼ばれるもので、収穫後にコーヒーチェリーから果肉を除去します。 その後、パーチメントという皮のみを残した状態で乾燥させます。 収穫したばかりのコーヒーチェリーはまずパルピングマシン(脱穀)を通し、皮や果肉などを豆から除去します。 次に、豆を水路に通しながら、重量ごとに分類し、さらにいくつかの回転式ドラムを通すことでサイズごとに選別し、水で満たされた大きな発酵タンクへと運びます。 天候や土地の高度などのさまざまな要因によって、豆はこのタンクに12時間から48時間格納され、粘質物の層を除去します。 発酵が完了すると、豆は手触りが粗くなり、もう一度水路で洗い流し、乾燥へと移ります。
市場に出される前に、乾燥コーヒー豆には次のような精製が施されます。
これらの段階の終わりに、最高品質の豆だけが販売用にパッケージされます。
粉砕されたコーヒー豆はこの時点で「グリーンコーヒー」と呼ばれ、黄麻またはサイザル麻の袋に詰められます。 輸送コンテナに積み込まれ、卸売市場へと運ばれます。
コーヒーのテイスティングプロセスの時間:袋詰めになったコーヒーは味と品質を確認して明示するために、数回にわたりテイスティングが行われます。 カッピングと呼ばれるこのプロセスは、効率良く行うためにカッピング専用の室内で実施されます。 ワインのテイスティングと同様、この手順ではアロマ、ボディ、味に重点を置きます。
この時点で、焙煎は、グリーンコーヒーを私たちにとってより身近な香ばしい茶色の豆へと変貌させます。店頭やコーヒーハウス、カフェでおなじみの色と形状になります。 コーヒー豆はこのプロセスの間中、焦げないように動き続けます。 摂氏約200℃の内部温度に達すると、それらは茶色に変わり始め、カフェオール、つまり内部に閉じ込められた香りのよいオイルが現れてきます。 熱分解と呼ばれるこのプロセスは、焙煎の基礎であり、人々に愛される風味とフレーバーはこのときに得られます。 その後、豆はすぐに冷却されます。 焙煎が、通常、輸入国で行われるのには理由があります。焙煎したてのコーヒー豆は、できるだけ早く消費者の手に届けることが重要であるためです。
コーヒー豆を挽くとき、これまでで最も風味豊かな一杯のコーヒーを淹れるには、淹れ方に応じて適切にコーヒー豆を挽く必要があります。 コーヒーの粉が水と接触する時間の長さによって、最適な挽き目が決まります。 一般的に、コーヒーは挽き目が細かくなればなるほど、早急に消費する必要があります。
コーヒーの旅路もいよいよ最後のステップです。皆様のもとへ届くまでに、長く複雑なプロセスをたどってきたコーヒーを淹れて、そのアロマティックな香りを楽しみましょう。